駿台模試、大手進学塾模試から見た2018年度難関高校入試予想

日比谷星稜
↑東大合格者数において2年連続で「高校入試組日本一」を達成した都立日比谷高校。

駿台模試で明らかに! 「現中3生は進学校志向」えっ!?

週刊誌等で、2018年度の首都圏難関高校入試の予測が発表される時期になりました。最難関高校志望者が集まる駿台中学生テスト(通称:駿台模試)の志望者状況を確認しましょう。

意外なことに、現中3生は進学校志向だといいます。早慶附属やMARCH附属といった私立大学附属の人気がやや下がり、学力トップ層ほど進学校に目が向いているようです。

その理由は、現中3生が将来国立大学入試を受けるときに「かなり狙い目になる」「東大、京大、一橋大、東京工業大などは軒並み大幅易化」することが確実なことにあるようです。

現行の大学入試制度が変わり、現中3生は新しい入試制度の下で、新しいテストを受けることになります。そのことは、すでに何年の前から周知が進んでいたので、この世代は抵抗感が思ったよりないようです。

それどころか、一つ上の現高1生が「浪人は絶対にタブー」という風潮があり、浪人生が3-4割程度減るのではないかと言われています。例えば、東京大学なんかは合格者の約4割が浪人生。その浪人生が、現中3が大学入試を受けるときだけ消えるとしたら、こんなにラッキーなことはありません。

本当に優秀な生徒は、やはり国立大学への進学を目指します。日比谷高校や開成高校といった超進学校の生徒は、ほぼ全員が国立大学を第一志望にします。国からの補助金の金額や設備環境も含めて、一流の国立大学は、たとえ早慶大といえども敵いません。海外マスメディアの世界の大学ランキングにランクインする日本の大学も、上位は国立大学が独占しています。私立大学に甘んじずに、「世界に伍した一流大学を目指したい」という気概のある中3生が多いのですね。


偏差値が上がり続ける日比谷高 負の連鎖止めたい開成高

駿台中学生テストが公表する合格ラインの偏差値表を以前の数値を比較しました。目につくのが、都立日比谷高校の上昇です。約2ポイント上昇し、早慶大附属に合格する学力があっても厳しいほど難易度が上がっています。

都立日比谷高校の資料によると、現高1生の国私立併願状況は、下位合格層で、男子は早稲田高等学院、慶應義塾など。女子は豊島岡女子、早稲田実業など。つまり、都立日比谷高校の入学者は、最低であっても、早慶大附属か、それに準ずるレベルの進学校にはほぼ全員が合格しているということ。(なかなか衝撃的な資料だったので、塾対象説明会ではどよめきが起きたのが印象的でした。)

開成高校は、どうしても都立日比谷高校、都立西高校への正規合格者の流出に歯止めがかかりません。駿台中学生テストの志望者数は微増していて、倍率は微増が予想されています。

しかし、第一志望者は減り続けていて、もはや開成の高校入試の位置づけは、すっかり「日比谷や西への上位合格を目指すための踏み台」になっているのではないでしょうか。

もちろん、第一志望者もいるのですが、開成高校の第一志望者は、私立中学在学生(つまり、中学受験で不合格になった開成中が諦められずにリベンジ組)と、埼玉県組(埼玉の公立トップ校は別学なので抵抗感が薄い?)に支えられている状況です。

開成高校の正規合格の半数が日比谷や西へ流出してしまうのは避けられない状況。高校入試では「中高一貫校への途中入学は不利」という考え方がすっかり広まってしまい、人気回復は茨の道。かつて海城高校が高校募集を取りやめ、さらに成城高校も募集停止を発表したように、開成高校も募集停止になる日が来るかもしれません。


国立付属は予想通りの人気減退 改革の不安先行? 

日比谷をはじめとする進学校は人気なのに、対照的に雲行きが怪しいのが首都圏の国立大学附属高校。8月以降、朝日新聞、読売新聞、日経新聞といった大手マスメディアで大々的に「国立大附属高校の脱エリート化」が報じられ、受験生が動揺しているようです。

駿台中学生テストや、大手進学塾の模試でも、志望者総数は変わらないのに、第一志望者数が大きく減っています。筑波大学附属駒場高校を筆頭に、東京学芸大学附属高校、筑波大学附属高校、お茶の水女子大学附属高校の国立附属の進学校は、学力上位の生徒の敬遠が見られます。

従来これらの学校を第一志望にしていた彼らの現在の第一志望先はというと、都内は都立日比谷、西、国立の3校が断トツ。開成高校への流れが少ないのは、共学校で全員同じラインで学校生活が始まる環境が支持されるからでしょう。神奈川県では、進学実績の上昇が目覚ましい横浜翠嵐高校に人気が集中しています。

国立附属に入学した場合、次年度以降は、入試改革によって学校自体が大きく変わってしまい、進学校としての体面が保てなくなる恐れがあります。大学進学実績の低下が直撃するという見方が強く、大手進学塾では「国立附属の立場をきちんと説明し、難関国立大学進学志向の生徒には積極的には薦めない」ようにしているようです。



法政女子の共学化で難易度アップ 成城は最後の高校募集 

法政国際

大学附属で注目なのは、法政女子高校が共学化して、法政国際高校になる点でしょう。グローバル教育、国際教育を前面に掲げていて、どれくらい難易度がアップするのか、情報が錯そうしていますが、模試の志望者状況を見ると、難易度はややアップし、特に女子生徒にとっては厳しい戦いになりそうです。

中高一貫系男子進学校の成城高校が、2018年度を最後に高校募集を停止します。最近は、都立進学校の人気の影響で、都立3番手校クラスにも蹴られてしまい、受験倍率、入学者の学力低下が続いていました。

成城高校に限らず、首都圏の国私立高校は、大学附属を除けば低迷が顕著で、中高一貫校に途中から入学する高入生の立場は厳しいものになってきています。「学校全体では東大に20人合格しているのに、高入生は1人合格するかしないかの惨状だ」と嘆く私立高校もあるように、私立高校内部で、高校入学者不要論が高まっているように思います。

私立高校の高校募集が切り捨てられる中で、ひっそりと高校募集を再開する学校が出てきているのもまた事実。これらの学校の共通点は、中学入試だけで生徒が集まらないほど募集に苦戦している学校ということ。高校入試を再開しても、都立高校のように高校入学者を3年間で育てるノウハウはないわけですから、思うように受験者が集まってはいないようです。


大学入試の未来先取り 海外志向高まる日比谷高  

すばる望遠鏡
↑日比谷高校が訪問するハワイのすばる望遠鏡。卒業生が建設したものだ。

現高3生の駿台東大実戦模試(第1回)の高校別状況も入手しました。東大レベルを目指す高校受験生にとって一番関心があるのは、高校受験生の希望の星ともいえる、都立日比谷高校の状況かと思います。

順調に東大合格者数を伸ばしている同校ですが、現高3生は、昨年世代よりも3割東大合格圏判定が増えて、過去最多となっています。

実は、日比谷高校はここから3年間は、年を経るごとに優秀な世代になっていきます。その一つの指標として、開成高校の合格辞退者数を見ると、現高1生では30人以上が日比谷を選択しています。大手進学塾の合格の声を見ると、日比谷と開成のダブル合格が目立ちます。来春は40人を超えるのではないかと言われていますから、東大合格者数はここから、増える一方となるでしょう。

さらに見逃せないのが、都立日比谷高校の内部で海外志向が高まっているという情報です。日比谷高校はグローバル10の指定校で、ハワイのすばる望遠鏡訪問事業や、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大の訪問行事、学術系オリンピックへの参加など、日比谷高校のグローバル教育の盛んさは群を抜いています。

現中3生が大学受験時には、都立日比谷高校の推定東大合格者数は80人程度。これはもう、確実に上回るでしょう。しかし、それ以上に、海外大学を含む幅広い進学先という観点にも注目したいと思います。